医療機関でAI製品を導入する際、費用の一部に補助金を使える場合があります。AI問診や文書作成支援、音声入力、通訳など、検討する製品が決まったら、契約前に申請できる制度があるかを調べます。最初に確かめるのは募集状況です。ここでは、国と自治体の制度を例に、自院で使える補助金の探し方と、申請前に揃える情報を紹介します。
01申請できる募集回の確認
候補の制度を見つけたら、公式ページで受付中か、締切までに必要な書類を揃えられるかを確認します。まだ申請していない段階で募集が終わっていれば、その募集回を利用する前提で導入の話は進められません。
補助金を使うことが導入の条件なら、別の募集中の制度を探すか、追加公募の正式な案内を待ちます。次回の公募や翌年度の継続は、発表されるまで未定です。補助金を使わずに導入する場合は、全額自己負担の予算として別に判断します。
以下は、申請できる募集回が見つかった場合の確認事項です。すでに申請済みの医療機関は、募集終了後も自院の審査・交付決定の状況に沿って手続きを進めます。
02自院と導入予定の製品の対象条件
まず、補助率を見る前に、自院の所在地、開設主体、病床数などが申請条件に合うかを確認します。医療機関向けの制度でも、病院と有床診療所だけを対象とするものがあります。中小企業向けの制度では、医療法人と個人開設の診療所で確認する要件が異なります。
そのうえで、導入予定のAI製品が対象になるかを調べます。登録済みの製品から選ぶ制度もあれば、対象となる機能や使い方を定めている制度もあります。製品名だけで照会せず、提供事業者、契約プラン、使いたい機能を揃えると、対象となる範囲を確認しやすくなります。
| 確認する内容 | 用意する情報 |
|---|---|
| 申請する医療機関 | 所在地、開設主体、病床数、従業員数。法人内で複数施設を運営する場合は、申請単位も確認。 |
| 導入する製品 | 製品名とプラン、提供事業者、利用する部署、導入する機能。 |
| 予定している支出 | 初期費用、利用料、機器代、設定や研修の費用を分けた見積もり。 |
| 導入日程 | 契約、利用開始、支払いの予定日。申請準備から実績報告まで担当する人。 |
03国と自治体の補助金の探し方
国の制度では、中小企業向けのITツール導入支援を確認できます。2026年度の「デジタル化・AI導入補助金」はその一つです。医療法人は常時使用する従業員が300人以下という規模要件があり、このほかにも申請条件が設けられています。個人開設の診療所は、該当する業種の要件を確認します。[1]
通常枠では、登録されたIT導入支援事業者が扱う、登録済みのITツールを導入します。AIを使った製品であっても、登録の有無や対象となる業務プロセスを確認する必要があります。ソフトウェアの購入費や最大2年分のクラウド利用料などが対象となり、補助率は原則2分の1以内です。一定の賃金要件を満たす場合には3分の2以内となります。[2][3]
自治体の制度は、所在地の都道府県の医療政策担当部署などが公開する事業案内を調べます。検索するときは、都道府県名に「医療機関 AI 補助金」と年度を添えると、地域と時期を絞れます。
例えば東京都の2026年度「医療機関におけるAI技術活用促進事業」では、AI問診、電子カルテ等へのAI音声自動入力、AI通訳などを対象経費に挙げています。対象施設は都内の200床未満の病院や有床診療所で、開設主体等による除外条件もあります。無床のクリニックで探す場合は、別の制度を検討することになります。[4]
2026年9月29日に確認した直近の締切は、国の通常枠が9月29日17時、東京都の第2回が9月30日です。これから準備する場合、間に合わない可能性があります。最新の募集回は各公式ページで確認してください。追加公募や翌年度の継続は、発表前には確定しません。
04対象経費と自己負担額の見方
候補の制度が見つかったら、見積書の項目を公募要領の対象経費と照合します。月額料金の何か月分を申請できるのか、導入設定や職員研修を含められるのかによって、自己負担額は変わります。パソコンやタブレットも、製品と一緒に買えば対象になるとは限りません。
例えば国の通常枠はソフトウェアを必須としており、ハードウェアの購入費は対象経費に含まれていません。一方、東京都の上記事業は、対象となるAIシステムに関連する電子機器の導入費も挙げています。同じ見積書でも、申請する制度によって扱いが変わります。[2][4]
院内の予算では、補助対象外の費用と、補助期間が終わった後の利用料も含めて見積もります。また、補助金が後払いの場合は、いったん導入費用を支払うための資金が必要です。採択されなかった場合に、自己負担で導入するのか、導入時期を改めるのかも決めておきます。
05申請前の照会と交付決定後の契約
特に注意したいのが、契約を始める時期です。ここで紹介した国の通常枠と東京都の事業は、交付決定後に契約等を進める順序を定めています。申請書を出した日と、交付決定を受けた日は異なります。見積もりの取得と発注を分け、担当者間で契約可能日を共有します。[3][5]
申請前の問い合わせでは、制度窓口には対象条件や手続き、提供事業者には製品の登録状況や見積もりを確認します。問い合わせ先ごとに質問を分けます。
受付中の制度について、制度窓口に確認する例
[制度名・募集回]への申請を検討しています。当院は[所在地・開設主体・病床数]で、[対象業務]に[製品名・プラン名]を導入する計画です。対象施設と対象機能の条件を確認したいので、参照する公募要領の箇所と必要な資料を教えてください。
申請前に、提供事業者に確認する例
[制度名・募集回]の利用を検討しています。[製品名・プラン名]の登録状況、または対象機能に該当する根拠を確認できる資料をご提示ください。
見積書は初期費用、利用料、関連機器、設定や研修の費用に分けてください。交付決定後に発注・契約した場合、利用開始や支払いまでに必要な期間も教えてください。
06まとめ
医療機関のAI導入で補助金を検討するなら、まず申請できる募集回があるかを確かめます。受付中で準備が間に合う場合に、自院と製品の対象条件、対象経費、契約可能な時期を照合します。募集終了後に新規申請する計画は立てず、次の募集を待つか、別制度を探すか、自己負担で導入するかを判断します。
07よくある質問
無床のクリニックでもAI導入の補助金を申請できますか。
制度によっては申請を検討できます。国のデジタル化・AI導入補助金では、開設主体や規模、対象ツールなどの条件を確認します。一方、ここで紹介した東京都の事業は、無床診療所を対象に含めていません。
すでに契約したAI製品にも補助金を使えますか。
ここで紹介した制度では、交付決定前の契約等を対象外としています。契約済みの費用を後から申請する前提で進めず、更新や追加導入を含め、契約内容と日付を制度窓口へ示して確認してください。
記録作成の負担を減らす方法を検討している方には、診察の会話を文字にするGENSHI Voiceも選択肢の一つです。以下は機能の案内であり、掲載した補助制度の対象製品であることを示すものではありません。
