無料で音声入力を始めるなら、スマートフォンやパソコンの標準機能が候補になります。医療機関で選ぶ際は、入力欄へ話しかけたいのか、患者さんとの会話を記録したいのかを先に決めます。この記事では、標準の音声入力と医療向けサービスを、使い方とデータの取扱いから比較します。
01無料で使える標準音声入力の機能
ここでは、端末に備わる音声入力のうち、iPhoneの音声入力とWindowsの音声入力を取り上げます。別の有料アプリを契約せず使える機能ですが、端末代や通信費は別にかかります。
| 機能 | 入力と処理の方法 |
|---|---|
| iPhoneの音声入力 | キーボードで文字を入力できる場所に、音声で入力できます。Appleは、多くの言語では端末上で処理すると説明しています。言語・地域等による違いがあり、検索欄へ入力した文章が検索エンジンに送られる場合もあります。[1] |
| Windowsの音声入力 | テキスト欄にカーソルを置き、Windowsキー+Hなどで開始します。Microsoftの案内では、インターネット接続を必要とし、Azure Speechによるオンライン音声認識を使用します。[2] |
どちらも、文字を入力したい場所へ音声で入力する機能です。患者さんと医師の長い会話を記録し、後から発言を見返す用途では、連続利用、話者の扱い、履歴、書き出しを別に確認します。音声入力に対応していることだけで、会話記録に必要な操作がすべて揃うとは判断できません。
Windowsには別機能として「音声アクセス」などもあります。処理方法を調べる際は、実際に使う機能名を特定します。他の音声機能の説明を、そのまま適用しないようにします。
02医療向けサービスで追加して比較する機能
医療向けの音声文字起こしを検討するなら、診察中の会話をどのように扱えるかを確認します。例えばGENSHI Voiceは、公式の機能説明で、リアルタイム文字起こし、話者ごとの色分け、専門用語の辞書登録、テキストの書き出しを案内しています。[3]
薬剤名や院内の略語を辞書に登録できれば、繰り返す誤変換を減らすための調整ができます。試用では、登録前後の文章と手直しの量を比べます。話者分離についても、同時に話した場面や小さな声の扱いを確認します。機能があることと、すべての会話を正しく記録できることは分けて評価します。
| 自院の用途 | 確認する操作・条件 |
|---|---|
| 入力欄への音声入力 | 使いたい画面で動くか。入力と修正を同じ画面で終えられるか。 |
| 診察の会話記録 | 診察中に使い続けられるか。発言者や会話の流れを後から確認できるか。 |
| 専門用語の扱い | 薬剤名や略語をどこまで認識するか。辞書等で調整できる範囲と、その管理者は誰か。 |
| 記録の受渡し | 結果を院内の指定先へ渡せるか。コピーや書き出しで何のデータが残るか。 |
| 組織での利用 | 利用者管理、権限、問い合わせ窓口、契約・解約の条件が院内の要件に合うか。 |
03無料・有料の両方で確認するデータの取扱い
標準機能だから端末内だけで処理される、あるいは有料サービスだから医療情報を扱う条件が揃っている、と価格から判断することはできません。実際に使う機能、アカウント、プランの説明を確認します。
Microsoftは、Windowsの音声入力についてオンライン処理と、改善のために音声クリップを提供する設定を区別して説明しています。改善への提供を断ることと、音声認識のためのクラウド処理がなくなることは同じではありません。[4]
確認するのは、処理・保存先、保存期間、学習や品質改善への利用、人による閲覧の条件、削除方法です。音声が端末上で処理されても、入力した文章の保存先アプリが外部と同期する可能性は別に調べます。医療向けサービスでも、利用するアプリやプランの条件を揃えて確認します。
院内で利用を判断するための資料が揃わない場合は、患者情報を入力する前に提供元へ問い合わせます。
04同じ条件で比べる試用方法
試用には、実在の患者情報を含まないテスト用の会話を用意します。自院でよく使う専門用語、否定表現、左右、数字を含め、同じ話者と端末の位置で比較します。音声ファイルを取り込めない機能もあるため、比較できる入力方法とできない方法を記録します。
試用結果に残す項目
端末・OS・アプリの版、入力方法、会話時間、使用した辞書や設定、意味に関わる誤り、確認・修正時間、結果を指定先へ渡す時間、途中で止まった場面を記録します。
認識された文章だけを並べるより、使える記録にするまでの手間がどこにかかったかを比べる方が、選定に役立ちます。標準機能で用途を満たし、情報管理の条件も確認できるなら、その選択は合理的です。会話の履歴や専門用語の調整が必要なら、対応するサービスを含めて比較します。
05まとめ
標準の音声入力と医療向けサービスは、入力欄への入力、会話の記録、専門用語の調整など、必要な用途に合わせて比べます。データの取扱いを確認したうえで、同じ条件の試用により修正と受渡しの時間を測ると、機能と費用を自院の仕事に沿って判断できます。
06よくある質問
無料の音声入力に患者情報を入れてもよいですか。
無料であることだけでは判断できません。使用する機能と入力先アプリの処理・保存・利用条件を確認し、院内の情報管理担当者が利用の可否を判断します。
医療向けなら誤変換はなくなりますか。
誤変換がなくなるとはいえません。専門用語への対応に加え、自院の会話で起こる誤りと修正時間を試用で確認します。使用時には担当者が全文を見直します。
会話を録音する前に相手へ説明して許可を得て、院内の情報管理ルールに沿って利用してください。文字起こしやAIが作成した文章は、担当者が全文を確認して使用します。
