医療機関では、院内連絡、診療情報の閲覧、患部の撮影、記録の作成などにスマートフォンやタブレットを使います。職員の業務用端末を導入するときは、誰が設定や更新、回収を担当するかも決めておきます。私物端末でも院内の貸与端末でも、利用者と患者情報の保存先を院内で把握できる運用が必要です。

01私物端末と院内端末の違い

私物端末を仕事に使う方法は、BYODと呼ばれます。医療情報システムの安全管理ガイドライン第7.0版では、BYOD端末についても、医療機関が管理する機器と同等の対策を講じる手順が求められています。所有者が職員だからという理由で、管理を個人任せにはできません。[1]

端末を選ぶ前の比較
方式決めておく管理
職員の私物端末業務利用の許可範囲、個人用データとの分離、更新状況の確認方法、紛失・退職時に院内が操作できる範囲。
院内から個人へ貸与端末と利用者の台帳、業務外利用の可否、院外持出し、故障時の交換、返却時のデータ処理。
病棟・診察室の共用端末当日の利用者、引継ぎ、アカウントの切替、前の患者情報の表示、保管・充電・更新の担当。

少人数で始める場合は、院内で設定を揃えられる端末を用意すると、確認する環境を限定できます。すでに私物端末の業務利用を管理できている施設では、その仕組みを利用できるかを情報管理担当者と検討します。台数だけでなく、設定を維持する人の作業も比較します。

02使用開始前に確認する設定

まず、利用する業務アプリが対応する機種・OSを確認します。古い余剰端末を使う場合は、アプリが起動するだけでなく、セキュリティ更新を受けられるか、勤務中に必要な電池容量があるかを確かめます。試用では、テスト用のデータで院内連絡、閲覧、撮影などの操作を行い、着信や画面ロックで作業が中断したときの挙動も確認します。

用途によって、確認する保存先も変わります。業務チャットなら通知や添付ファイル、撮影なら写真フォルダ、診療情報の閲覧ならダウンロードやスクリーンショットを点検します。音声文字起こしを使う場合も、録音と文字起こし結果の保存先を確認します。

患者情報が個人用の保存先へ流れないかも調べます。端末のバックアップ、ファイル共有、写真、クリップボード、他のアプリへの受渡しなど、実際に使う機能をたどります。OSやアプリの設定によって挙動が変わるため、個人用クラウドへの同期を単に想定するだけでなく、保存先を確認します。

開始前の端末台帳

端末番号[ ]/機種・OS[ ]/所有者[ ]/利用者[ ]/管理担当[ ]/使用アプリと契約[ ]/使用場所[ ]/持出し可否[ ]/保存先[ ]/最終更新確認日[ ]/紛失時の連絡先[ ]。

画面ロックと認証、通知画面に表示される情報、通信先、アプリを追加できる人も設定します。MDMなどの端末管理の仕組みを用いる場合は、対象の機種やアプリで何を制御できるか確認します。遠隔ロックや削除が、どの状態でも必ず実行できると見込まないことも必要です。

03共用端末での利用者と引継ぎ

共用端末では、複数人が同じ機器を使うことと、全員が一つのアカウントを使うことを区別します。誰が操作したかを把握できる方法を選び、サービスのアカウント共有条件も確認します。利用者ごとの認証や権限管理が必要な用途で、それを実現できない場合は運用や製品を見直します。

引継ぎでは、前の利用者がログアウトしているか、患者情報の画面や保存途中のファイルが残っていないかを確認します。撮影画像を別の患者の記録へ添付したり、前の利用者のアカウントで連絡したりしない手順にします。利用者が交代時に行う作業と、終業時に管理担当者が行う作業を分けておくと、確認漏れを減らせます。

置き場所も揃えておきます。第三者が画面をのぞき込みにくく、患者さんや来訪者が自由に操作できない場所を選びます。保管場所と充電場所が決まっていれば、朝の残量不足や端末の置き忘れにも気づきやすくなります。

04紛失・故障・退職時の対応

紛失時は、まず院内の連絡先へ報告し、端末とアカウントを特定します。その後、利用停止や遠隔制御、保存データとアクセス履歴の調査など、事前に決めた対応を進めます。安全管理ガイドラインも、紛失・盗難に備えた手順と、可能な対策を事前に講じることを求めています。[1]

私物端末では、業務データの削除と私的な写真等の保護を両立できるかが問題になります。院内が実施できる操作と本人が行う操作を、使用開始前に合意します。機種変更や退職時に初めて話し合うと、すでに端末を手放していて確認できない場合があります。

返却や廃棄では、必要な業務データの保存を確認した後、端末内の業務データを適切に消去し、アカウントやアクセス権を整理します。音声文字起こしにも利用している場合、録音データの保存対象の分け方は、音声データは個人情報?診察の録音の保存期間と安全管理で解説しています。

05まとめ

医療機関の業務用スマートフォンやタブレットは、設定、更新、利用者、保存先を院内で把握できる方式を選びます。私物利用には管理範囲の合意、共用利用には認証と引継ぎが必要です。使い始める前に台帳と紛失・返却時の手順を用意し、実際の端末で確認します。

06よくある質問

私物のスマートフォンは、医療機関では使えませんか。

一律に禁止とはされていません。ただし、医療機関が管理する機器と同等の対策を講じ、院内の規程と手順に沿って利用する必要があります。個人の判断だけで患者情報を扱う運用は避けます。

院内から持ち出さなければ管理は簡単ですか。

持出しを限定すると管理範囲を絞れますが、院内でも第三者による操作や個人クラウドへの同期などは確認が必要です。保管場所、利用者、認証、更新の担当を決めます。

会話を録音する前に相手へ説明して許可を得て、院内の情報管理ルールに沿って利用してください。文字起こしやAIが作成した文章は、担当者が全文を確認して使用します。

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