医療AIを選ぶときは、作ってほしいものから候補を絞ると比較が進みます。診察前の問診情報、会話から作るカルテの下書き、入院中の記録をまとめた退院サマリー。使う情報と受け取る結果によって、必要な製品が変わります。
ここでは、医療AIの種類と実際の製品例を並べ、自院の仕事に合う機能を整理します。問診と音声入力の使い分けや、導入時の確認事項は、関連する各記事で詳しく扱っています。
01医療AIの種類と使う情報
医療AIは、医療に関わる業務で使うAIの総称です。画像から病変の候補を検出するもの、患者さんの回答を整理するもの、文章の下書きを作るものなどがあります。
| 対象の仕事 | 入力する情報 | 受け取る結果 |
|---|---|---|
| 画像診断の支援 | 対象となる検査画像 | 所見の候補や注目する領域 |
| 診察前の問診 | 患者さんの回答 | 症状や経過を整理した問診情報 |
| 診察中の記録 | 医師と患者さんの会話 | 文字起こし、カルテの下書き |
| 退院時の文書作成 | 入院中の診療記録 | 退院サマリーの原案 |
| 院内文書の作成 | 決まった手順や既存の文面 | 案内文、手順書などの下書き |
例えば、患者さんが来院前に入力した回答を使うのが問診の用途です。診察で検査結果を説明し、方針を相談した内容まで記録したい場合は、会話を使う機能が候補になります。両者の使い分けは、AI問診とAIカルテの違い|機能と使い分けで詳しく扱っています。
02実際の製品に見る活用例
画像を使う診断支援
富士フイルムのCXR-AIDは、胸部X線画像の病変検出を支援するソフトウェアです。画像を扱う製品は、対象の検査と承認された使用目的から比較します。文章を作る生成AIとは、選ぶ際の条件が異なります。[1]
会話を使う診療記録
診察の会話を文字起こしし、普段の書式に合わせて下書きへ整える使い方です。例えばGENSHI VoiceのiPhoneアプリは、文字起こしとSOAP形式への整形、独自の指示文の登録に対応しています。[2]
医師は会話を材料にした下書きから記録を仕上げられます。患者さんへの説明や相談内容を一から文章に組み立てる作業に、AIを使う例です。具体的な記録の作り方は、電子カルテのAI音声入力とは?|導入するとできることにまとめています。
複数の記録を使う文書作成
NTTプレシジョンメディシンは、モバカルホスピタル内の現病歴や入院経過などを使う、退院サマリーの原案作成機能を発表しています。対象の電子カルテに残された記録を参照する用途です。利用条件は提供元へ確認します。[3]
会話を使う製品と、過去の記録を参照する製品では、原案の材料が違います。
03導入前に決める成果物と書式
比較の出発点には、普段使っている文書を一つ選びます。例えば診療記録なら、会話を残す全文と、カルテへ使うSOAPの下書きのどちらが必要かを決めます。案内文なら、伝えたい事項と配布先を指定します。
同じ会話でも、患者さんへの説明文と医師が使う記録では、残す項目や表現が変わります。自院の見出し、文章量、用語に合わせて調整できる機能があると、毎回の並べ直しを減らせます。
04試用で見る効果と利用条件
効果は、下書きが出る速さと、使える文書に仕上げるまでの時間を分けて比べます。記録作成なら、文字起こし、書式への整形、担当者による全文の確認までを同じ条件で試します。見出しや文章量の調整で減らせた作業も記録しておくと、導入後の使い方を具体化できます。
AIによる取り違えや、入力されていない情報の補足が起きることはあります。試用時は、元の会話や資料を見ながら直せるかも見ます。実際の進め方は、医療機関のAI導入|業務の選び方と効果の確かめ方を参照してください。
医療情報を扱う製品の選定では、3省2ガイドラインへの対応を必須条件にします。対応範囲と院内側で必要な運用を含めて判断するための確認点は、医療機関の音声文字起こしの選び方|なぜ3省2ガイドライン対応は必須なのかで整理しています。
05まとめ
医療AIには、画像の診断支援、問診、音声からの記録作成、既存文書の要約などの用途があります。入力する情報と完成させたい文書を一組にすると、自院で比べる機能を絞れます。
最初の試用には、普段使う文書を一つ選びます。書式に合う下書きを作り、担当者が全文を確認するところまで試すと、AIで減らせる作業と必要な機能が見えてきます。
06よくある質問(Q&A)
Q. 医療AIと生成AIは同じ意味ですか?
医療AIは用途による呼び方で、生成AIは文章などを生成するAIの種類です。医療AIには、文章を作る生成AIのほか、画像の病変検出を支援するものなども含まれます。検討中の仕事が、画像の確認なのか文書作成なのかで候補を分けられます。
Q. 小規模なクリニックでは、どの業務から試すとよいですか?
同じ形式の文書を繰り返し作っている業務が候補です。診察の会話から記録を作りたいなら音声記録、決まった内容の案内文を整えたいなら文章生成を試せます。実際に文書を仕上げる担当者が、利用条件を満たす環境で一件を最後まで試すと判断しやすくなります。
※ 会話を録音する前に相手へ説明して許可を得て、院内の情報管理ルールに沿って利用してください。文字起こしやAIが作成した文書は、担当者が毎回全文を確認して使用します。詳しくは、電子カルテ×AIのセキュリティ|個人情報をどう守るかをご覧ください。
